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感想の第1歩(2) [紅楼夢]

(1)林黛玉(もちろん続きますよ、
というよりこれだけで終わりかな)

物語的には、黛玉が5歳程度の頃から
語られている。まあ遊び半分とはいえ
(父親的にはだが)高級官僚の家庭教師
が付くわけですから、まあ尋常でない。
最近お受験なんていうが、明清朝時代
の上流階級でもこれは象徴的となると
これだけでも、只者ではないことが理解。
その後、母が逝去し、黛玉10歳前後で、
上京するわけだが、そのときに、過去、
母に言われたことをすべて覚えている
という前提、必ず、初対面の時に際し、
その人の件で、母に言われたことを、
しっかり理解し、記憶していたことを
ちゃんと思い出して、対応している。
今で言うと、小学生ですぞ、しかもすでに、
筆や硯等渋い趣味が馴染むのだから、
どれだけ上品で教養高いのかがわかる
それで、美貌設定が西施ですからね。
これで、性格がいいなんて設定はありえ
ません。究極の女性ですからね。

政財界の中心を形成する寧栄両亭の
数多いる綺羅星のごとく女性のなかで
外孫ながら、絶えず席次1位であり
血縁が最優先されるときだけはさすがに
席次を譲るが「賈、史、薛、王」の4氏
優先だから、しょうがありません。
昔、女性は特に後援者が一番大事で、
黛玉は既に両親を失い、近親者もいない。
一方、薛宝釵は上記4氏であるだけでなく
豪商の娘で、女官になるよう教育を既に
受けてもいた。しかも金玉の縁と最強だ。
まさに、黛玉は個人で、薛宝釵は個人
というよりこの時代の女性の理想象だ。
この戦いでもあったと思います。

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当然、このような女性は男の手が届く
そう、届いちゃいけないということです。
そもそも、涙を流す、恩を受けた甘露
の分に見合うだけの、となると、物語
でも述べられたように、その時代では
出家するしかないということになる。
長生きはするが使命は果たせないという
究極の矛盾をかかえることになる。
そもそもこの命題自体が不毛だという。

「神瑛侍者」と「絳珠草」の貸し借り清算
だけがこの世への生まれ変わりの目的
これ自体は悲恋とまったく関係ないこと。

そう、この時限爆弾がすべての元凶だ。

結局、美しいまま、舞台から去るために
みな若くして不運にも死去するという
設定が絶対条件になっているだけだ。
美と幸福がトレードオフの関係になり
その設定公表が金陵十二釵の詩による
予告となるわけだ。

実際、林(木が二本枯れている)は枯れ
玉帯が掛かるのだから、林黛玉は
首吊りで自殺する暗示だろうが、それは
天に昇る趣旨からは、はずれてしまう。
一方宝釵は金釵が雪に埋没することで
フェードアウトすることも予告される。

首吊りというより、天に召されるとも
埋没は地に帰るとも受け取れる。
天地人ですね。

まさに魂は天に帰り、肉体は地に還る

そうなると、はたして、黛玉が流した涙
当初の想定に沿ったものばかりだったのか
ということである。そうでないと清算されて
いないことになる、ここが黛玉を長生き
させる肝となるとともに、枯れた林(木二本)
の玉帯がかかることが死のみをあらわす
としていいのか、ということ、枯淡の域に
達したということは、現世で生きながら
成仏したとも考えられるということだ。

四苦を乗り越えたと考えれば、涙は既に
無用の長物になったともいえるのだから。
治天の君になるという発想も出てくる
それは実は現実にあることが不思議で、
それこそ「武則天」のこととなります。
物語より事実はすごいですよね。

「媚娘が幸せな生活を送ったのは武士彠が
死去する8歳までだった。父の亡き後、
媚娘は異母兄弟に虐げられる生活を送る
こととなった。少女期の媚娘は漆黒の髪、
特徴的な切れ長で大きな目、雪のような肌、
桃色の唇、薔薇色の頬、大きな胸、
見る者を魅了する媚笑、聡明な頭脳を
備えていたと史書に記録されている。」
これ誰のことでしょうか・・・・・・・・

ですから、私が補作するのであれば、
貴妃が薨去したこのタイミングで、
枯淡ということは一般人としては隔離
玉と帯は権力の象徴ですから、
後宮に女官として上がり、地位を極める
エリザベス女王(1世)のように、国家と
結婚して永遠に清浄を保つとなれば
女帝になるしかない。そう清の時代
皇后には漢民族からでは無理というなら、
帝位につけばいいという願もかかった。

そうなれば、いかに宝釵が宝玉の妻に
なろうとも、二人とは住む世界が変わる
人民の為に涙を流し、流しつくした後、
老化しないまま、大往生するということ。

まあ、物語にも出たが、後宮に上るという
ことは現世では成仏したようなもので
里帰りは、かぐや姫の地球降臨だね。

いかがですか、私としては、林黛玉は
誰のものにもならず、しかも命をつなぐ
ためにはこれしかないと思います。

手がいくらかかっても、プライドがいくら
高くても、その教養と美貌を生かすには
これしかないと思いますよ。

女帝「林黛玉」に命令されたいですよね。








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